お知らせ

2021.6.27

「土佐和紙の部屋」への想い

 5月にオープンした客室「土佐和紙の部屋」では高知県の伝統工芸品である「土佐・手漉き和紙」の魅力にふれあっていただきたい想いから、音楽を心地よく聞いていただくための手漉き和紙を、土佐の匠であるアウテンボーガルトロギール氏と共同製作しました。

 美濃、越前と並び「日本三大和紙」に数えられる土佐和紙は、古くから障子や書道紙、文化財の修復など、生活の中で幅広く使用されてきました。そんな高知の伝統工芸品でもある土佐和紙の中でも、昔ながらの「手漉き」で製造する土佐和紙は近年数を減らし、県内の手漉き和紙工房はここ40年余りで3分の1以下にまで減少しております。(戦前には100軒以上あった工房は現在17軒にまで減少)衰退の背景には戦後に洋紙が広く普及したことや、安く大量生産できる紙すき機械の普及、また後継者不足など様々な理由があげられます。

 そんな減少していく高知の伝統・手漉き和紙ですが、手漉き和紙の可能性を広げ、魅力を体感していただきたいと想い、今回新たな客室「土佐和紙の部屋」をつくりました。

 土佐和紙の部屋では、落ち着いた寛ぎのある滞在に加え、より心地よく音楽を楽しんでいただくために、客室を音楽ホールのような音響空間に設計し、それに伴う「音のための手漉き和紙」を、土佐の匠であるアウテンボーガルトロギール氏、アウテンボーガルト陽平氏、また表具師である川島義保氏と共に開発しました。音と自然を考慮した温かくゆらぎのある手漉き和紙をお部屋の壁紙に使用することで、より良い音楽体験を生み出し、ここにしかない滞在を楽しんでいただけるお部屋となりました。

 高知県の伝統である「土佐手漉き和紙」と「豊かな音楽体験」を通して、1人でも多くの方にお寛ぎいただき、土佐手漉き和紙の魅力を体感していただけますと幸いです。


左:川島義保氏 右:ロギールアウテンボーガルト氏


ロギール氏自ら無農薬栽培にて原料となる楮を育てる、里山の風景


四万十川源流の湧水と自家栽培の楮


1年に渡る試行錯誤の末、完成した手漉き和紙


心地いい音楽体験のため、音響ボードに囲まれた客室


客室内に張り巡らされた音響ボード


「音と自然」を考慮した手漉き和紙を壁紙に使用


音楽ホールのような響きを楽しんでいただける客室設計

リスニングソファからの眺め